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2021.03.10
体験談産後うつ0歳1歳

国際結婚での産後うつ|発症〜断薬まで断薬までの体験談

こんにちは。産後うつ闘病中の紅白もち子と申します。私は長男が1歳8ヶ月、長女が生後3ヶ月の頃に産後うつと診断されました。診断されてから約1年半ほど経ち、今はずいぶん回復してきています。

「産後うつ」は出産経験者の約10%〜20%がなると言われ、名前はご存知の方も多いかもしれません。実際はどのような病気なのか知っていただきたく、私の体験談をシェアしたいと思います。

異国で出産し孤独な育児の毎日

国際結婚でスイスへ移住した私は、語学学校だけでなくアルバイトも始め毎日慌ただしく過ごしていました。どちらも長男の出産直前まで続きましたが、忙しくも充実した日々だったのを覚えています。

寝ない長男のお世話で睡眠障害に

長男出産後の産褥期は想像以上に身体にダメージがあり大変でしたが、精神状態は安定し幸せでした。ただ長男があまり寝ない子で、極度の睡眠不足から生後5〜6ヶ月頃に睡眠障害を発症。

毎日仮眠をとるたびに不眠と悪夢に苦しみました。睡眠障害で病院へ行くことも考えましたが症状は徐々に消えていき、日々の育児に追われて受診には至らず。この時の症状を産後うつとは思っていませんでした。

体力が回復しないまま第二子妊娠し、体調はますます悪化

二度目の妊娠中の方が、一度目の妊娠よりも身体がつらかったのを覚えています。出産する瞬間まで息苦しさが続き、腰痛や恥骨痛も妊娠中期から大きな悩みでした。それでも上の子の世話があるので無理をしていたと思います。この頃から散歩に出るだけで疲れ果て、座っているのも、やっとのような状態でした。

出産前は、語学学校やアルバイトで社会との接点も多かったですが、学校は修了しアルバイトも出産を機に休職。社会とのつながりが徐々に希薄になっていきました。そして二度目の妊娠中はひたすら自宅で長男の世話をするばかり。私の両親や親しい友人は遠く離れた日本にいます。さみしいとなどと思う余裕すら無かったけれど、孤独だったと思います。

体調不良の妻を見てみぬふりする夫に、心がすり減る

長女出産後は体調が思わしくなく、退院後すぐに腹痛や熱を出して病院へ駆け込むこともありました。一般的に言えば安産だったのでしょうし一度目の分娩よりは軽かったと思います。しかし、二度目の方がお産に対する恐怖心は大きく出産がトラウマのようになってしまいました。

出産がトラウマになり情緒不安定に

出産後1ヶ月頃から情緒がやや不安定になっていき、しばらくは妊婦さんを見るのが怖かったです。これはマタニティーブルーになってるなと思いました。

子どもはかわいいけれど、笑顔を向けてかわいがれるだけの心のゆとりも、体力もないほど疲弊したまま過ごす毎日。日常生活を送るのもしんどい。体調が良い日が無かったけど、育児中の人はみんな疲れているものだろうと思いがまんを続けてしまいました。

のちに自分の疲れは病的なものだと理解しましたが、当時は疲れの度合いが異常なのか正常の範囲なのか自覚できず、産後うつとは思ってもみませんでした。

この頃から味を感じなくなり、酷い肩こりや身体の痛みを覚えはじめます。今を思えば少しずつ異変が起こり始めていました。

自分の時間を優先する夫、睡眠時間すらない自分

長男出産以降、夫との関係は悪く憎くてたまらなかったです。仕事があるからと夜のお世話を代わってくれず、それなのにゲームには毎晩時間を割く夫。出産前とあまり変わらない生活をしていたことを恨んでいました。

長女の出産後は、夫も少しづつ育児に参加するようになりました。しかし相変わらず、長女の夜のお世話はほとんど代わってくれず、私は常に寝不足でした。もっと夫と話し合って夜間のお世話当番を明確にし、私の睡眠時間を確保するべきだったと思います。

寝不足で身体はボロボロ、精神状態も不安定でした。私の場合は不安感などより、妊娠、出産、育児の大変さを理解してくれない夫への怒りの感情が強かったです。

義父からの批判に心が限界を超え、精神科を受診

長女が生まれ3ヶ月たっても相変わらず無理を押す日々が続いていました。そんな中、義理両親と旅行に行くことになり、そこで私が大きく体調を崩すきっかけとなる出来事が起こります。

旅行中義父がアドバイスと称して私に批判的な意見を言い、酷く私を傷付けたのです。私は義父の話を到底受け入れられず激しい怒りが込み上げました。

すでに限界だったのでしょう。急激に体調が悪化して発熱、頭痛、腹痛、外耳炎、発疹などが一気に出てきて、ベッドから起き上がれなくなってしまいます。

ようやく病院にかかるもすぐには改善せず

旅行中に寝たきりのようになってしまった私をみて、義母が「医師の治療を受けるべきだ」と言い、夫に連れられ人生で初めて精神科を受診。初めに受診した精神科では「産後うつのように思うが、熱などが治ってから通いで治療しましょう」と根本的な解決案の提示はありませんでした。出産した病院でもいろいろと検査を受けましたが、体調不良がどこから来るか分からず不安はつのるばかり……

結局最初に受診した精神科医は合わず、婦人科検診で通っていた近所の婦人科に助けを求めました。そこでも産後うつ、しかも「重い産後うつ」のため任意入院を提案されます。しかし当時長女が哺乳瓶を拒否しており、そんな時に小さな子どもを2人残して入院する決断はできませんでした。

当時の私は、まだ自分が産後うつであることが受け入れきれておらず、そのうえ長期間の闘病になるとは思ってもいなかったのです。今思えば思い切って入院すべきだったと思います。

もしあなたが「生活しているだけで毎日つらい」状態なら入院、または今の環境を変えることを強くすすめたいです。

良くなったり悪くなったりしながら回復中

婦人科で抗うつ剤を処方され約一年ほど服用したものの、効果があるのかはっきりと分かりませんでした。こんな言い方では服薬をちゅうちょしてしまう人がいるかもしれませんが、私は服薬には肯定的です。薬の力を借りてでも最悪の事態を回避するべきと考えています。

ただ、合う薬を探すには医師の言う通りに試してみるしかありません。しかも抗うつ剤はスッと効くようなものではないため、自分と合っているか判断が難しいと思います。

一度は体調が持ち直しましたが、引越しを経てまた体調が崩れていきます。また高熱や身体の痛みで起き上がるのもつらくなり、入院を提案されるほどに悪化してしまいました。再びうつのどん底期がやってきたのをきっかけに、主治医を婦人科医から精神科医に変えます。

その後長女が1歳5ヶ月時に断乳に成功し夜眠れるようになりました。睡眠が取れるようになり体調も回復してきたので、ついに断薬を決断。耳鳴りやしびれ、物忘れといった離脱症状(※)に悩まされるも、5週間ほどで断薬に成功しました。現在は薬なしの生活が可能になりましたが、精神科医の元にはカウンセリング目的で通い続け、頓服薬をお守りに持っています。

精神状態は安定してきたとはいえ、以前と比べてとても疲れやすく生きているだけでしんどいと感じる毎日です。ここまでの子育てはとても言い表すことができないつらさでした。

※離脱症状:抗うつ薬など中枢神経系に作用する薬を減らしたり中止ししたりすると出てくるさまざまな不調のこと。症状の有無や程度には個人差があり、まったく症状が出ない場合もあります。

この病気には波があるようです。良くなりかけては調子を崩し、前向きになったと思えば突き落とされる。

夫の言葉に落ち込み、うつが悪化して再び寝たきりのようになったことや、突然動けなくなり保育園の迎えに行けないこともありました。妻の急な体調不良に対応する夫も大変だったと思います。

うつ病院の診断から1年6ヶ月経ち(2021年2月現在)知らない人から見れば普通のママとして生活しています。私は周りの人に産後うつをオープンにしており、そのせいかよく「うつ病のように見えない」と言われることもしばしば。

しかしまだ産前と同じように動ける状態には戻っていないのです。自分では今もうつ病が寛解(※)していないと感じています。

※寛解(かんかい)︰病気による症状が好転、またはほぼ消失し臨床的にコントロールされた状態のこと。うつ病では、症状が落ち着き普通の生活ができるようになったことを「治癒」や「完治」ではなく「寛解」と呼びます。

産後つらいのは当たり前じゃない! おかしいと思ったら医療機関へ

産後うつのことは出産前から知識として知っていたものの、まさか自分がなるとは思いもよりませんでした。「産後うつに気をつけましょう」「おかしいと思ったら受診しましょう」程度の説明では分かるはずもない、イメージとは全く違う病気だったのです。

うつ(産後うつ)は脳の病気です。一体どうすれば防げるのか、これから出産する人のために役に立ちたいという気持ちはありますが、未解明の部分が多くいいアドバイスが見つかりません。

でも、これだけは言わせてほしい。

「産後眠れないことを普通だと思わないで

新生児のお世話は睡眠が削られて当たり前と思われています。

子どもは個人差が大きく、よく寝る子と寝ない子では親の疲労度が全く違います。これは子どもが産まれてからでないと分かりません。もし十分に眠れないならパパや他の家族、それが無理ならばプロに助けを求めゆっくり休んでほしいです。

赤ちゃんが産まれる前に、産後の睡眠をどう確保するかを家族で真剣に話し合ってほしい。もしも眠れる環境が整っているのに、眠れないのならその時点で医療機関を受診した方が良いと思います。

私は長男出産後、睡眠障害になっていたのに忙しさでやり過ごしてしまった。あの時適切な治療を受けていればと思うと、悔やんでも悔やみきれません。

暗い感情も落ち着く日がくる

「産後うつは脳の病気であり、あなたのせいではない」

いま産後うつに苦しむママにこう伝えたいです。

あなたの中にあるネガティブで暗い感情は病気の「症状」だから、追い詰められた時は「症状が出ているな」と一呼吸おいて下さい。そしていつか落ち着く日がくると知ってほしいです。

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この記事を書いた
ライターWRITER

紅白もち子

紅白もち子

年子2児のママ。産後うつ闘病中。
断薬済み。精神科でカウンセリング継続中。
病気と「戦う」から「共に生きる」覚悟。
Twitterで日々の闘病の様子を、Instagramで産後うつ体験漫画を描いています。

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