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2021.03.31
体験談プレママ

ビビりな私が出産できた理由 無痛分娩で出産しました(3)

こんにちは。ママライター豆岡ショカです。私の無痛分娩体験記を3回にわたってお送りしています。

1回目では無痛分娩の出産方法や、バースプラン、出産日を決めるお話。2回目では出産当日の朝から硬膜外麻酔のこと、陣痛中の過ごし方についてお話しました。最終回の3回目では出産から無痛分娩の現状についてお話したいと思います。

  1. 出産準備 
  2. 出産当日(麻酔注入〜分娩直前)
  3. 出産当日(分娩〜出産後)←今回

無痛分娩ならでは、いきむ感覚がわからない

分娩台にのり、いよいよ出産が始まりました。助産師さんに、少しいきんでみようか。と言われましたが、陣痛がないのでいきみたいという感覚がありません。

お腹につけているNST(子どもの心拍と子宮収縮を確認する装置)の波形を見ながら助産師さんの合図でなんとなくいきんでみました。すると「上手上手」と助産師さんがほめてくれたのでこれでいいんだと安心できました。

それを何回か繰り返していると、なんと助産師さんが頭が見えてきたというのです。

麻酔でまったく感覚がないので、あまりの展開の速さにとおどろきました。助産師さんが赤ちゃんの頭を触ってみるか聞いてきたので、どうしようか迷いましたが、貴重な経験です。大きいお腹で大変でしたが初めて我が子の頭を触りました。

「フサフサだ」

我が子を触ってみた一番最初の感想です。息子は新生児なのに髪の毛がフサフサの状態で産まれてきました。赤ちゃんは髪の毛が少ない状態で産まれてくると思っていたので、フサフサ具合にびっくりしたのを覚えています。

子どもの体はまだ私のお腹の中。頭のてっぺんだけが股からでている状態の我が子の髪を触るという貴重な体験をすることができました。

これも無痛分娩なので気持ちに余裕があると助産師さんが判断し触らせてもらえたんだと思います。

生まれた!!生命の神秘を噛みしめる

そして、また助産師さんにいきむよう言われ、これでいいのか……と迷いながらいきみます。助産師さんが優しく上手だよ〜と声をかけてくれました。

3回ほど繰り返し「もういいよ、お腹が張ってもいきまないで。一呼吸して、あと1回ふーとやったらおしまい」と言われていきむのをやめて、ふーと息をはいたら、お腹からドゥルンと何かがでるのがわかり、

「はい!おめでとうございます!無事に産まれました!元気な男の子です!!」

19時41分。目の前には、今までお腹にはいっていた我が子がオギャーオギャーと力強く泣いていました。

息子を見たとき、私は泣くこともなく、ただただ生命の神秘を感じていました。「はじめまして」よりも感動よりも「うわー。本当にお腹に入ってたんだ」という思いが強かったです。今思い返せば無痛分娩ならではの、冷静な気持ちでいられた感想だったと思います。

普通分娩なら痛みのあとに我が子に会えた喜びがあふれ、その後「やっと終わった」「もう無理」という流れが多いかもしれません。私は痛くないし、疲れてもいないので「わーー産まれたんだなぁ」という純粋な気持ちをしみじみ噛みしめることができました。

立会い出産をした夫への負担もありませんでした。陣痛がないのでサポートもいらず、特に私から暴言を吐かれるわけでもなく、終始穏やかな気持ちで一緒にいられたと思います。今回の記事を書くにあたり、出産時の動画を見返しましたが、2人で他愛もない話をしていたり、子どもが生まれても「かわいいね〜泣いたね〜」と2人で言い合っているほのぼのとした様子が記録されていました。

会陰切開なし!嬉しい誤算

そして、うれしいサプライズがありました。

私は会陰切開せずに出産ができたのです。出産のときには必ず会陰切開はあるものだと思っていたので、嬉しい誤算でした。

のちに先生に聞いたのですが、無痛分娩をすると余計な力が入らないので、会陰切開しなくてもよいケースが増えるのだそうです。(※)これも無痛分娩によってリラックスした状態でお産ができたおかげだと思います。産後のダメージを減らすことができたのも、無痛分娩の大きな利点だと思いました。

その後はカンガルーケアをしたり、写真を撮ったり、息子の処置をしている間、胎盤を見たり。こうして私の出産は無事安産で終えることができました。

※普通分娩でも会陰切開しない場合もあります。また、無痛分娩でも会陰切開する場合もあります。

後陣痛がつらすぎる

出産は無事に終わりました。

しかし、出産の後にやってくるのが後陣痛。

『後陣痛(こうじんつう)』とは、分娩終了後の数日間にみられる産褥初期の子宮収縮に伴う疼痛(とうつう)のことです(産褥とは、分娩の終了から妊娠前の状態に戻るまでの期間のことです)。生理的な後陣痛はむしろ望ましくて、通常は特別な治療を必要としません。強い後陣痛は産後のお母さんにとって非常に苦痛なもののため、後陣痛を軽減することは産褥婦管理の上で課題の一つです。

 後陣痛の原因としては、胎児と胎盤などの付属物が娩出(べんしゅつ)された後に急速な子宮収縮が始まり、子宮内圧の消失という物理的原因とプロスタグランジン、オキシトシンなどの薬剤が関係した急激な子宮収縮と考えられています。

 初産婦に比べて経産婦のほうが症状が強いのが特徴で、授乳によって子宮収縮が強くなるために痛みは増します。痛みに対しては鎮痛薬を使用しますが、痛みが強くて産後の子宮の回復が良好と判断される場合には子宮収縮剤の投与を中止することもあります。

 産褥婦が前述した症状を訴えれば後陣痛と診断されますが、症状が異なる下腹部痛については産褥子宮付属器炎(さんじょくしきゅうふぞくきえん)、虫垂炎、子宮筋腫の変性壊死、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)の茎捻転(けいねんてん)などを考慮し、内診、超音波断層法、血液検査、腹部X線検査などの検査を行います。

医療法人 身原病院

お恥ずかしながら、私は実際に出産するまで後陣痛のことを全く知りませんでした。陣痛や出産がピークでそのあと何か起こるかは想像もしていなかったです。出産して2時間くらいは麻酔が効いてましたが、徐々に痛みが増して子宮が収縮しているのか生理痛の5、6倍くらいの痛みが襲ってきました。

また、出血量も非常に多く、産褥パットではカバーしきれずにシーツが血の海になってしまいました。私の場合は悪露は1ヶ月ほどで治まりましたが、長い人だと数ヶ月続く場合もあり治療する必要があります。

無痛分娩でも出産後の後陣痛からは普通分娩と変わりはありませんでした。

無痛分娩の後遺症や子どもへの影響

出産後について1回目でもお伝えしましたが、このあと産後うつになり、精神的にも肉体的にも辛い日々が待っています。

ただ、無痛分娩の後遺症と思われる症状はありませんでした。子どもは退院後すぐに黄疸が強く出て再入院しましたが、治療は数日で終わり麻酔の影響を感じることはありません。この記事を執筆している現在(2021年2月 5歳)も元気いっぱいに成長しています。

もちろん麻酔の利用はリスクを伴いますが、私は無痛分娩で出産をしてよかったと思っています。

現代の無痛分娩事情

ではここからは無痛分娩の実情についてお話しようと思います。

日本と欧米諸国の違い

日本国内では「お産は痛みに耐えてこそ」という考えが根強く無痛分娩に対し偏見や誤解が多いのが実情です。

日本産科麻酔学会のサイトには、日本の硬膜外無痛分娩の実施率は出産全体の6.1%。それに比べ欧米は73.1%と記載されています(2016年のデータ)欧米では硬膜外無痛分娩がかなり普及していますが、日本の無痛分娩率は非常に低く、まだまだ普及していません。

無痛分娩の場合は、普通分娩のリスクに加え、麻酔によるリスクが伴います。麻酔に不慣れな産科医が硬膜外無痛分娩の施術をし、訴訟になっているケースもあります。また、和痛と呼ばれる硬膜外麻酔以外で痛みを和らげる方法での出産を「無痛分娩」と呼んでいる病院もあり、日本では無痛分娩のルール作りや議論が足りないと感じます。

無痛分娩について様々なデータを積極的に公表する安心感

今回の記事を執筆するにあたり、改めて自分が出産した病院のサイトを確認したところ、私が出産した時より公開情報が増えていました。無痛分娩についてのQ&Aがしっかり記載され、先生が無痛分娩や麻酔に関してどのように習得し現在もどのような講習を受講したのか記されています。このように情報公開をすることは無痛分娩に対する偏見を減らし、積極的に公表することは病院できちんと対応している証になると考えます。妊婦さんにとっても安心材料になりますよね。

さらに、約20年の間に1,500件の無痛分娩を実施してきたことも併せて記さており、直近3年間に関しては「無痛分娩」「普通分娩」「帝王切開」の分娩件数とその割合も記されています。

それによると過去3年間で無痛分娩の実績は年間で200件以上、全体の30%を超えています。先述した日本産科麻酔学会の実績数と比べると約5倍になるので、私の出産した病院では無痛分娩の実績が多い病院となります。こういったデータがいつでも閲覧できるのは、妊婦さんやその家族が安心して出産できることはもちろんのこと、もし無痛分娩を反対している家族がいた場合、説得の材料になるのではないでしょうか。

無痛分娩はリラックスした理想的なお産

産後数年経ってもいろんなエピソードが鮮明に記憶に残っているのも無痛分娩の特徴ではないかと思います。私は痛みを感じなかったので、お産に冷静に臨めました。出産の痛みがある場合は、「なんでもいいから早く出して」「早くこの状況を終わらせたい」という記憶のほうが強烈で、痛み以外のことは覚えてない人が多いと思います。

茶目っ気のある先生からは「本当に痛くなかったでしょ?お友達に宣伝してね!」と言われました(笑)

病院到着〜出産まででトータル11時間ほど。最後まで出産の痛みを感じることはなく、記憶がなくなることもありませんでした。終始冷静に状況を把握でき、私としてはリラックスできた理想のお産をすることができたと思います。

多くの人に無痛分娩という選択肢を

出産は命がけです。様々な困難を乗り越えて子どもを妊娠し出産します。無痛分娩で出産したから子どもへの愛情がないなんてことは決してありません。麻酔科医が足りないなどの現実問題はありますが、リスクを理解し妊娠を考えているプレママさん、経産婦さんの選択肢のひとつに無痛分娩を考えてほしいと思います。無痛分娩だったらもっと子供を産みたいという人が増えれば、少子化問題の解決方法のひとつになるのではないかと考えています。

今回の記事でひとりでも多くの方が「こんな出産ならやってもいいかな」と思っていただけたら幸いです。

3回にわたって読んでいただきありがとうございました。

※無痛分娩の効果には個人差があります。
※本記事の内容は個人の見解であります。必ずしもすべての状況に当てはまるとは限りません。必要に応じて医療機関へ相談のうえ、ご自身による適切な判断と責任によって対応いただきますようお願いいたします。

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この記事を書いた
ライターWRITER

豆岡 ショカ

豆岡 ショカ

6歳男の子のママ。
産後うつとなり、その後精神疾患と診断。福祉系サービス、手当、支援、制度など当事者目線でお伝えしたいです。無痛分娩経験者。

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