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2021.03.03
体験談産後うつ0歳1歳

その不調、うつかも? 元うつ病患者の産前・産後うつ体験記

初めまして。1歳の男の子を育てている、竹島千遥です。皆さんは「産前うつ」という言葉を聞いたことがありますか? 「産後うつ」に比べると耳慣れない言葉かもしれません。事実、私自身も産前うつの存在を知ったのは、産後しばらく経ってからのことでした。

今回は私が体験した産前・産後うつの様子(症状、発症したときの状況、経過など)をお伝えします。

心や体に不調のあるママ・プレママが「この症状、もしかして産前・産後うつなのかも?」と気付くきっかけになり、同じ経験をした先輩ママとして、参考になることがありますように。

妊娠中の不調、もしかして産前うつかも?!

心身ともに大きく変化する妊娠期。つわりをはじめ、いろいろな不調がありすぎて、妊娠前の自分なら戸惑うようなことに対しても、「大変だけど、妊婦ってこんなものなのかな…」と思うこともしばしば。

でも、その不調が辛く、生活に困難をきたしているようなら、ためらわずにお医者さんに相談することをおすすめします!

妊娠中の不調

産前うつ・産後うつとは? マタニティブルーとは違う?

妊娠中に起こるうつ病を「産前うつ」、出産後に起こるうつ病を「産後うつ」と呼びます。症状は精神的なもの、肉体的なもの、人によってさまざまです。よく似たものとして、産前・産後には、ホルモンバランスの変化にともなう「マタニティブルー」という一過性のうつ症状が出ることもあります。3週間以上うつ症状が続くようなら、マタニティブルーではなくうつ病を疑い、適切な治療を受けることをおすすめします。

妊娠中から心身の不調が。産前・産後うつ体験談

私は、妊娠中から産前うつらしき症状に悩まされ、産後には産後うつと診断されました。服薬によって症状は落ち着き、今では元通りの生活を送れていますが、うつの最中は本当に辛い思いをしました。何がきっかけでどんな症状が出て、どのように対処したのか。発症から回復まで、私の体験をお話します。

うつ病既往歴のある人は、産前・産後うつにも注意が必要!

実は、私は以前うつ病を患っていたことがあります。その時は数年ほど心療内科に通って、投薬治療を受けました。一度うつ病にかかったことのある人は、そうでない人に比べて再発のリスクが高いそうです。私も産後うつという言葉は知っていたので、妊娠中から、うつ病の再発に気をつけて、あまり無理をしすぎないように過ごしていました。

気をつけていたつもりが、気付けば心身不調に…

産前うつらしき症状が出たのは妊娠8ヵ月頃。当時の私は夫と2人暮らしで、1ヵ月前に縁もゆかりもない遠方の県への引越しを済ませたばかりでした。今思うと、転居と出産という、とても大きなストレスが重なる、最悪のタイミングでした。

誰も知らない、どこに行けばよいのかもわからない街で、日中は一人家で過ごす日々。ストレスのはけ口もうまく作れず、気付かないうちにストレスをためこんでいたようです。うつ病の再発にはとても気をつけていたはずなのに、いつの間にか、いくつかの辛い症状が出てきてしまいました。

不安感

産前うつ? こんな症状が出ました

  • とにかく不安な気持ちになる(子どもを愛せるのか? 出産で自分のキャリアは終わるのか? など)
  • 小さなことが許せず、夫にイライラする
  • 訳もなく涙が出る
  • 音に過敏になる(コンセントプラグから出るノイズが気になって仕方なかった)
  • 光に過敏になる(部屋の照明がまぶしくて、夜でもサングラスをしていた)
  • 眠れない(寝付けなかったり、中途覚醒したり)

他にもいろいろな不調が出ており、以前うつ病を患ったことのある私は「これってもしかして、うつの症状かも?」と思い当たりました。しかし妊娠中に薬を飲みたくなかったことや、妊娠中に心身が変化するのは当たり前、という思い込みもあり、妊婦健診でこれらの症状について相談したり、心療内科にかかったりはしませんでした。後述しますが、実際には妊娠中に飲める薬もありますし、この判断はあまり良くなかったと反省しています。

その後、里帰り出産のため、出産の1ヵ月ほど前に実家に帰ることに。勝手知ったる実家、日中話せる相手ができたことでストレスが減ったのか、辛かった症状は少し和らぎました。

そのまま、産後うつに突入

2日間にわたるお産を経て、無事に我が子と対面! 出産によるダメージで体はボロボロでしたが、産後数ヶ月はとても元気に動けていました。しかし、このときの疲労が後々産後うつにつながっていくのでした…。

産後しばらくは、ハイでハッピーな状態に

産後、ボロボロの体でおこなう赤ちゃんのお世話は、それは大変なものでした。(大変すぎて当時の記憶がないほど)反面、ようやく会えた我が子は想像以上に可愛く、幸せな気持ちにさせてくれました。

ベビー用品

産後2週間および1ヵ月のタイミングで、出産した産院で乳児検診を受けました。その際、母親向けに産後うつのスクリーニング検査も実施されました。これは「エジンバラ産後うつ病質問票」というもので、「過去7日間で、笑うことがありましたか?」など、母親の気分に関する質問に答えました。産後うつのリスクのあるお母さんを見逃さないよう、乳児健診の際に全国的に取り入れられているそうです。

この頃の私は、夜間授乳による圧倒的な睡眠不足と、出産後のホルモンバランスで精神的にハイになっていたようで、自分の体のしんどさやストレスにはまったく無自覚でした。スクリーニング検査の質問にも、特に問題ないと回答。頭の中は可愛い我が子のことでいっぱいで、「スクリーニング検査も問題なかったし、産後うつにはならなさそう。良かった!」と、楽観的に考えていました。

新生児服

気付けば心身ボロボロに…心療内科はひと月先まで予約でいっぱい

ところが産後2ヵ月を過ぎた頃、妊娠中に感じていた心身の不調が再発しました。加えてものすごく怒りっぽくなったり、すぐに疲れてしまったり。産後ハイの魔法が解けてしまったのでしょう、ある日突然、体がまったく動かなくなってしまいました。

布団から起き上がれない

すぐに心療内科に電話したものの、新規の患者の予約は1ヵ月先までいっぱいとのこと。今苦しくて助けてほしいのに、すぐに病院にかかれない状況はとても辛かったです。初診を受けるまで、うつ症状は日に日に悪化していきました。

  • 布団の上から動けない
  • 「死にたい」「消えたい」という思いが頭から離れない
  • 漠然とした焦燥感に駆られる
  • 突然、動悸と息苦しさがおそってくる

産後3ヵ月でようやく心療内科を受診でき、産後うつと診断を受けました。母乳育児を続けたいと先生に伝え、授乳中でも飲める薬を処方していただきました(母乳育児をやめて、もっと効き目のある薬を処方してもらえば、回復は早かったかもしれません)。

処方箋

その後は2週間に一度通院し、薬の種類や容量を変えながら治療を続けました。自分の以前の経験から、うつ病はいつかは良くなると頭ではわかっています。しかし回復を実感するまでの数ヵ月は「この状態が一生続くのではないか」と絶望ばかりで、毎日泣いて過ごしていました。

投薬治療を続け、現在はほぼ寛解。育児楽しい!

心療内科での治療を続け、半年ほどで回復の兆しが見えてきました。うつ病は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に良くなっていくのですが、段々と悪いときの辛い症状が落ち着いてきたり、調子の悪い日数が短くなっていくのを感じました。

産後1年ほど経ってようやく、薬を飲みながらではありますが、普段の生活に支障のない生活が送れるようになりました。通院のペースも1、2ヵ月に一度に。無理をしすぎると、数日後に辛い症状が出ることもあるので、この時期はとにかく自分を甘やかすことに注力しました。

現在は産後2年で、寛解(うつ病の症状が落ち着き、コントロールできている状態のこと)状態。先生の指示のもと、薬の量を減らしている最中です。今ではすっかりうつ病による辛い気持ちや症状は消え、可愛い息子と一緒に楽しい毎日を送っています。「産後うつだった頃の辛い気持ちはいったい何だったんだろう?」と不思議に思うほどで、やはりあの頃は病気だったのだと実感しています。

楽しい育児

辛い症状、放っておかないで!

薬の量も減り、ほぼ元どおりの生活ができるようになった今になって思うのは、もっと早く病院にかかっておけばよかったということ。私は妊娠中から「あれ、ちょっとおかしいかも?」と思っていたのに、専門家には一度も相談しませんでした。産前うつを見過ごしたせいで産後うつを発症してしまった(※)し、その際にもすぐに心療内科を受診できませんでした。産前のまだ症状が軽いうちに受診しておけば、回復も早かったはずです。おかしいと思ったときに、ためらわずお医者さんに相談しておけばよかったです。

※妊娠中のうつ症状は、産後うつのリスク因子であることが研究で明らかになっています。
参考:妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル|公益社団法人 日本産婦人科医会

少しでもおかしいと思ったら、迷わず専門家に相談を

「こんなことで病院を受診していいのかな?」「大げさだと笑われないかな?」と不安に思う気持ちもあるかもしれません。でも、辛くて困っているのならば、ぜひ一度専門家の先生に相談してみてください。結果、何も異常がないならそれはそれでよいことですし、一度受診しておけば、その後本当にうつ病などを発症したときにも、スムーズに再受診できますから。

病院の待合室

妊娠中・授乳中でも、心療内科の薬は飲める

また、妊娠中に薬を飲みたくない、との気持ちも心療内科の受診をためらう要因のひとつでした。同じように、授乳中に薬を飲みたくないとの理由で、心療内科の受診をやめてしまうママもいるようです。しかし実際には、妊娠中・授乳中にも飲める心療内科のお薬はありますし、多くのママが薬を飲みながら産前・産後うつの治療をおこなっています。お医者さんもママの気持ちを汲んだうえで治療方針を決めてくれるので、まずは相談してみてください。

診察

産前うつ・産後うつの症状は人それぞれです。必ずしも私と同じ症状が出るとは限りませんが、何かの参考になれば幸いです。辛いことを我慢しすぎるのは禁物。皆さんが素敵な妊娠・出産ライフを送れますように!

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この記事を書いた
ライターWRITER

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竹島 千遥

1歳の息子と夫との3人暮らし。
社会人になってからうつを患い、寛解。産後うつを再発しましたが、現在は寛解しています。
孤独やしんどいことも多い育児を少しでも楽しめるよう、情報発信していきます。

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